小学生から高校生までのキャラを描くなら、背景で学校の机を描く機会というのはほぼ必ずあると思います。
学校の机とイスというのは、ある程度サイズが決まっています。
そのため寸法を考えて描かないと、「学校の机を書いたはずなのになぜか家の机みたいに横長になった」といった、サイズ感のおかしい机を描いてしまう可能性があります。
なので作画をする前に、まずは寸法を把握しておきましょう。
今回はまずサイズをまとめた上で、実際に一点透視図法を使った正面の机とイスの作画手順もまとめていきたいと思います。
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机と椅子はJIS規格によって寸法が決まっている
学校の机と椅子は、JIS規格によりサイズが決まっています。
現在の主流は新JIS規格と呼ばれる、1999年頃に更新されたものが使われています。(それまでは旧JIS規格という、1952年頃規定されたものが使用されていました)
基本的には新JIS規格のサイズで描けばいいかと思います。
【新JIS規格】学校の机のサイズ・寸法
まず机ですが、天板のサイズは机の高さに関わらず「幅65cm、奥行き45cm」が主流となっています。
これ以外だと幅は60・70・75cm、奥行きは50cmでも良いとのことですが、とくに理由がないなら主流のサイズで描けばいいかなと思います。
高さに関してはJIS号数で寸法・適応身長が変わりますので、表にします。
号数 | 机の高さ(cm) | 適応身長(cm)、学年等 |
6号 | 76cm | 180cm(高校以降~) |
5.5号 | 73cm | 173cm(高校以降~) |
5号 | 70cm | 165cm(中学生~) |
4号 | 64cm | 150cm(小学校高学年~) |
3号 | 58cm | 135cm(小学校中学年) |
2号 | 52cm | 120cm(小学校低学年) |
1号 | 46cm | 105cm(小学校低学年) |
号数 | 机の高さ(cm) | 適応身長(cm)、学年等 |
参考に適応身長から年齢の平均身長を調べたので、学年も載せておきました。
1号は適応身長が105cmとなっていますが、今の小学1年生は7歳でも平均120cmくらいはあるので、実際に描写するのは2号からがいいかなと思います。
【新JIS規格】学校のイスのサイズ・寸法
続いてイスです。
イスも、机と同じで座面(座るところ)の高さにJIS規格があります。背もたれの高さではないので注意です。
号数 | 座面の高さ(cm) | 適応身長(cm) |
6号 | 46cm | 180(高校以降~) |
5.5号 | 44cm | 173(高校以降~) |
5号 | 42cm | 165(中学生~) |
4号 | 38cm | 150(小学校高学年~) |
3号 | 34cm | 135(小学校中学年) |
2号 | 30cm | 120(小学校低学年) |
1号 | 26cm | 105(小学校低学年) |
号数 | 座面の高さ(cm) | 適応身長(cm) |
幅や奥行についても規格があります。
号数 | 最小幅(cm) | 奥行 |
6号 | 36cm | 40cm |
5.5号 | 35cm | 39cm |
5号 | 34cm | 38cm |
4号 | 32cm | 36cm |
3号 | 29cm | 33cm |
2号 | 27cm | 29cm |
1号 | 25cm | 26cm |
号数 | 最小幅 | 奥行 |
ただ、実際の幅は号数に関わらず36cm程度で統一されていることが多いようです。あくまで最小の幅ということですね。
1号や2号の小さいサイズだけ幅34cmくらいにしているメーカーも見かけます。
奥行きはこのままでいいかと思います。
なお、高さ(背もたれの上端~地面まで)なのですが、実際の製品は以下くらいになります。
- 1号…高さ50cm
- 2号…高さ55cm
- 3号…高さ63cm
- 4号…高さ68cm
- 5号…高さ75cm
- 6号…高さ81cm
一応、自分用のメモとして背もたれそのものの高さ規定なども書いておきますが、さすがに普通はこの数値まで覚えなくていいと思います。笑
①は座面から背もたれの上端までの高さ、②は背もたれの下端から座面までの高さとなります。
(上の絵はメモ書きなので、細かい比率などは気にしないでください。^.^;)
【①座面から背もたれの上端までの高さ(背もたれ全体の高さ)】
号数 | 最小(cm) | 最大(cm) |
6号 | 36cm | 40cm |
5.5号 | 34cm | 38cm |
5号 | 33cm | 36cm |
4号 | 31cm | 33cm |
3号 | 28cm | 31cm |
2号 | 25cm | 28cm |
1号 | 21cm | 25cm |
号数 | 最小(cm) | 最大(cm) |
【②背もたれの下端から座面までの高さ】
号数 | 最大高さ(cm) |
6号 | 19cm |
5.5号 | 18cm |
5号 | 17cm |
4号 | 16cm |
3号 | 15cm |
2号 | 13cm |
1号 | 12cm |
号数 | 最大高さ(cm) |
例えば4号であると、背もたれ全体の高さが最小でも31cmで、下端~座面までが16cmであると、背中が付く部分(下のメモ書きの緑の部分)は、少なくとも半分よりは狭くなるのかな?という感じですね。
実際の学校のイスを観察してみると、背中が付く部分は案外小さいので、絵を描くときも狭めに描くようにするとリアリティが出そうですね。
旧JIS規格の寸法
せっかくなので旧JIS規格のサイズもまとめたいと思います。
【旧JIS規格】学校の机のサイズ・寸法
旧JIS規格では学校の机の天板サイズが「幅60cm、奥行き40cm」です。
号数 | 机の高さ(cm) | 適応身長(cm) |
特号 | 76cm | 173以上cm |
1号 | 73cm | 179〜166cm |
2号 | 70cm | 172〜159cm |
3号 | 67cm | 165〜152cm |
4号 | 64cm | 158〜145cm |
5号 | 61cm | 151〜138cm |
6号 | 58cm | 144〜131cm |
7号 | 55cm | 137〜124cm |
8号 | 52cm | 130〜117cm |
9号 | 49cm | 123〜110cm |
10号 | 46cm | 116〜103cm |
号数 | 机の高さ(cm) | 適応身長(cm) |
【旧JIS規格】学校のイスのサイズ・寸法
号数 | 座面の高さ(cm) | 適応身長(cm) |
特号 | 46cm | 173cm以上 |
1号 | 44cm | 179〜166cm |
2号 | 42cm | 172〜159cm |
3号 | 40cm | 165〜152cm |
4号 | 38cm | 1,58〜145cm |
5号 | 36cm | 151〜138cm |
6号 | 34cm | 144〜131cm |
7号 | 32cm | 137〜124cm |
8号 | 30cm | 130〜117cm |
9号 | 28cm | 123〜110cm |
10号 | 26cm | 116〜103cm |
号数 | 座面の高さ(cm) | 適応身長(cm) |
イスの奥行などは旧JIS規格の正式な数字が調べられなかったのですが、新JIS規格の方の寸法で描けていれば、違和感が出るということはあまりないんじゃないかと思います。
正面の学校の机の描き方
四角形の取り方
では、次に実際にパースを使って作画をしてみます。
今回は↑の机を書いてみます。
サイズは5号にしようかと思いますので、寸法をメモしておきます。
<5号の机の寸法(新JIS)>
- 高さ…70cm
- 幅…65cm
- 奥行き…45cm
まずは以下のように四角形を作っていきます。(手順は次から説明します。)
四角形を先に書いておくことで、全体の形を捉えやすくします。
アイレベル(上部の赤いライン)を引き、四角形の手前の横幅になるラインを引きます。
家具なので、アイレベルはいつも通り1200mm(120cm)としています。
アイレベル上にあるものはすべて同じ高さになります。
そのため、タテの赤いラインを12分割すれば、1目盛りあたり10cmの長さを出すことができます。
これを使えば、横幅と高さの長さを簡単に出すことが出来ます。
※家具のページだと毎回やっていることですが、このページでここに初めて来た方もいると思うので、最初から説明しています。
まずは横幅の寸法から取っていきましょう。机の横幅は65cmなので、6目盛り分と、1目盛りの半分の印を付けていきます。
横幅の1目盛りは、高さの1目盛りと同じ長さでOKです。(定規などで測ってください。私は練習だと方眼紙がラクなので使っています)
高さのラインも同じように引いていきましょう。
高さは今回70cmなので、同じように描く方は7の目盛りのところから平行に線を引けばOKです。
ここまで描けたら、アイレベルに消失点を設定します。
四角形のちょうど真ん中から真上に設定すれば、真正面の机を描くことが出来ます。
最初に消失点を決めちゃうと位置がずれ、真正面にならない可能性が出てくる(やってみればわかるはずです笑)ので、今回は消失点を後になって決めるよう手順を紹介しました。
四角形と消失点の位置が決まったら、次は奥行きのラインを引いていきます。
接地面から引いたほうが良いので、まずは下の奥行きを決めましょう。
奥行きはどうしても感覚になってしまうので、ここだけは勘で引いてください…。
あとは、奥の角から上に線を立ち上げていけば、天板の奥行きも取れるはずです。
これで四角形を描けましたね♪
次に、ディテールを書き込んでいきましょう。
ディテールと清書
四角形が描けたら、天板の厚みのラインを取っていきます。
あまり分厚くしないようにしましょう。
次に、脚を書いていきます。
まっすぐ書いても机にはなりますが、学校の机の脚は少し傾いているので、できればそのように描けると良いかなと思います。
次に、道具入れの部分を書いていきます。
通常の机で言う「幕板」の位置になりますが、幕板より少し厚く書いてあげると良いかなと思います。
通常の机についてはこちらで↓↓
⇒机(部屋の机)の描き方!正面を一点透視図法で描くには?【パース】
道具入れの下には補強のための貫のような部位があるので、下にも線を追加してあげましょう。
なお、脚の上部分は少し丸くなっているので、できればちょっとだけ曲線にしてあげられるとよりそれらしくなるかな~と思います。
あとは奥の脚も書いてあげましょう。
学校の机にはイスを入れる面以外、3面に「貫(ぬき)」という、机の脚と脚をつなぐ部位があります。
机の強度を上げてくれる部位になり、据え置きの机には基本的にあるパーツなので、書いておきましょう。
ここまでできれば、あとは脚すべてに滑り止めをつけてあげて下書きは終わりです。
清書して完成。
正面の学校のイスの描き方
次にイスですが、まず寸法ですね。机と同じように5号で書いていきます。
<イスの寸法(新JIS)>
- 座面の高さ…42cm
- 幅…36cm
- 奥行き…38cm
- 背もたれの上端~地面まで…75cm
まずは机と同じように四角形を書いておきましょう。
机と寸法が変わるだけで、方法は全く同じになります。
作画の場合、例えば「座面の高さ42cm」などの細かい数値は、40cmのラインで書いて問題ないので(おかしく見えなければOK)、大体で引いていきましょう。
座面の高さの線を引いたら、厚みのライン・奥行きのラインも引きます。
座面は天板と同じで、やはりあまり厚くは描かないほうが良いでしょう。
ちなみに学校のイスというのは、座面の手前が若干下向きになっていて、奥は少しスキマがあります。
ただ真正面だと、アイレベルによってはこの2点はあまり目立たないので、横などを描くときに意識できると良いかなと思います。
次に、手前側の脚を書いていきます。
脚なんですが、実は手前の脚と後ろの脚は別のパーツになっています。
後ろの脚のほうが、少し外側にあるイメージになります。
学校のイスのデザインによっては↑と構造が違う可能性もありますが、今回書くイスは上記のようになっていること前提で書いていきます。
前脚が描けたら、次に背もたれを書いていきます。
背中が付く部分(木板の部分)は、半分よりは狭いということが寸法を見たときにわかったので、結構横長になるイメージで印をつけます。
背中が付く部分というのは、まっすぐだと体が痛くなっちゃうので、普通はカーブがついています。
正面だとまっすぐ書いても違和感は出にくいかもしれませんが、覚えておくと便利でしょう。
骨組みの部分も書いてあげます。
さっき図を載せたので分かっていると思いますが、前脚とつながっている部分ですね。
そうしたら、後ろ脚も書いてあげます。
前脚とは別パーツであることを意識しましょう。
あとは脚の滑り止めなどをつけてあげれば、下書きは終わりになります。
清書してあげましょう。
セリアで学校の机とイスの模型が売っています
100円ショップのセリアで、学校の机と椅子がセットになって100円で模型が売っています。
最低限の構造は見れるので、今回のページを作る際にも参考になりました。
100円で手軽に買えるので、描きづらいと感じる方は探してみてもいいと思います。
イスは座面と背板を取り外せるので、部位がどうなっているかわかりやすいです。笑
よりリアルな模型を求めるならプラモデルもあります。立体物はあるとかなり助かりますね。
今回のまとめ
学校の机・イスはある程度サイズの規定があるので、仕上げるとなぜか変になるという方は寸法に気をつけながら書いてみると良いと思います。
パースは数学なので、遠近法を使おうとするならどうしても寸法というのを気にする必要があります。
ですが数学ということは、逆に言えば正解があるということです。人工物のようにサイズがきちんと決まっているものであるなら、しっかり測りながら作画していけば誰でもできるはずなのです。
なので初心者のうちほど、めんどくさがらず行っていきましょう。