パースについて勉強をしていると、「奥行きってどう決めたらいいんだろう?」という疑問にぶつかることがあります。
横幅や高さに関しては、消失点からの線を引いたり、対比となる人物・モノを置けばそこまで違和感なく書くことが出来ますが、奥行きだけは明確な基準というのが出すことができないんですよね。
当の私も、この奥行きに関してどうしたらいいのか最近まで悩んでいましたが、近頃「こうしたらいいんじゃないか」という方法をひとつ見つけたのでまとめていきたいと思います。
それは1畳や半畳のサイズから奥行きを出すという方法です。
一部は感覚で書く部分もありますし、ここでのパースの奥行きの決め方はひとつの提案でしかないので、あくまで参考程度にご覧くださいね。
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パースの奥行きはどう決めたらいい?
冒頭で話したように、ここでは1畳・半畳の寸法から奥行きを決める方法を紹介します。
最初に1畳と半畳のサイズですが、
- 1畳…タテ1800mm、ヨコ900mm
- 半畳(0.5畳)…1辺900mm
となっています。
※畳も種類によっていろんな大きさがあるようですが、ここでは絵を描く際のある程度のサイズ感が分かればいいので、計算しやすい数値にしています。
ちなみに、半畳はヒト一人が立ったり座ったりできるサイズ感、1畳はヒト一人が寝そべることができるくらいのサイズと覚えると便利です。
(1畳=タテ1800mmなので、ちょうど人間一人の身長より少し高い程度ですよね)
ここでわかる点があって、半畳っていうのはちょうど正方形なんですよね。
つまり、正方形のマス目1つを1辺900mmとすれば、そこから奥行きのサイズも出すことができるわけです。
文章だと説明しづらいので、画像で詳細にまとめます。
①…まず消失点をひとつ置き、そこからパースラインを引いて線をヨコに1本描きます。
パースに触れたことがあれば、消失点については多かれ少なかれ理解していると思うのですが、もしわからないという人がいれば以下のページを見ておいてくださいね。
②そうしたら書いたヨコ線の中央を出してください。
これに関しては定規で真ん中の位置を測ればいいので、簡単です。
③次にその真ん中から消失点までのラインを引きます
※画像はちょうど消失点まで真上のラインとなっていますが、消失点の位置によってはナナメになることもあります。
④そうしたら、最初のヨコ線の上にもう1本線をひきます。
ここだけ感覚で書く必要があります。(^^;)
⑤画像のA(2本目のヨコ線と、消失点まで引いた真ん中の線の重なる点)とB(1本目のヨコ線の端)をナナメに真っ直ぐ結びます。
このナナメの線と最初に引いたパースラインが重なるところからまたヨコに線をかけば、奥行きを2畳分足すことができます。
結果こうなるわけですね。
これで4畳のスペースが出来ました。
⑥今度は半畳のサイズを出します。といってもまたナナメに線を引いて、真ん中を導き出すだけです。
※私はこの方法を勝手にナナメ分割と呼んでいます。笑
なお半畳に関しては、また定規で半分の長さを量って消失点までラインを引いても出すことが出来ます。
⑦ここまで描くことが出来たら、次に奥の壁の線を引きます。といってもこれまで書いた線をタテに伸ばすだけです。
⑧半畳は正方形になるので、奥の壁の1ヶ所の長さを測り、同じ長さのところでヨコ線を書きます。(説明しづらいので画像を…)
⑨またまたナナメ線を応用して、正方形のスペースを量産しちゃいましょう。
※両脇のカベも高さの線はタテに伸ばすだけです。奥行きの線は消失点に向かって描きましょう。
(これは一点透視の基礎です。一点透視について詳しくはこちらで。⇒一点透視図法とは?消失点や構図の決め方は?【背景,パース】)
で、部屋の高さなんですが、半畳は900×900mmなので、2つだと1800mmになるわけですよね。
これだと天井の高さにしてはちょっと低いです。洋室の天井の高さは一般的に2300~2400mmくらいとされるので、図にはもうちょっと高さを足したほうがいいということになります。
とはいえもう半畳分(900mm)だと高さ2700mmになって今度は高すぎるかなという感じなので、ここでは半畳のマスを更に半分にした高さ(450mm)を足します。
すると高さ2250mmになるので、ほぼ誤差の範囲内かなと思います。
ここまで分けることができれば、部屋にあるドアや家具、窓などの奥行きも迷いづらくなります。
次で具体的な例を見てみます。
1マスを半畳とすれば家具などが置きやすくなる
部屋を半畳のマス目で分ければ、家具などのパーツも配置しやすくなります。
たとえば奥行き方向の長さが900mmの机なら、ちょうど1マス分で置けば良くなります。
奥行きで迷わなくなりますよね。
もう少し細かく分けたいなら、今までのナナメ分割を使って半畳を4マスに分けられます。
半畳を4マスに分けると1辺450mmになりますね。
当然、マスを細かく分けるほど配置はしやすくなりますし、正確な寸法も出ますが、あまりやりすぎても線がゴチャゴチャになる(とくにアナログだと)ので、分けるとしても1辺450mmまででいいかなと思います。
そもそもここまで分ければ、大幅に奥行きがおかしくなるってことも無いと思いますので。(^^;)
洋室のドアは横幅800mm、高さが1800~2000mmくらいなので、だいたい1畳の寸法と同じなんですね。
と、分割したマスに従って寸法がわかるものを配置すれば、奥行きが狂うことなく要素をたせますよ。
遠近がつくと実寸よりせまく見える
奥行きの補足ですが、消失点へ向かう面に関しては遠近(パース)がつくので、実寸(実際のサイズ)よりも狭く見えます。
上記の四角形は消失点に近い位置になるほどせまく見えますね。
遠近がつく面を実寸より広く書くと違和感が出るので、感覚で描写をする際は気をつけておきましょう。
今回は1畳や半畳の寸法から割ときちっと出してるので、これをやると「あーだいたいこんな感じの見え方になるか~」という練習になります。
図は4畳分のスペースで説明していますが、6畳などの居室として一般的な広さでも使うことが出来ますよ。
私も勉強中ではありますが、普段から自分が立っている視点から、モノの奥行きがどう見えるのか?というのを意識して見ておくのも、奥行き感を養う勉強になると思います。
絵は、その人の勘や感覚で書かれる部分があるからこそ面白いのだと思うので、今回の内容は方法の一つとして捉えて頂けると幸いです。
自室ならすぐ見ることが出来ますよね。描きたいものならなんでもいいんですが、室内だとドア・窓は必ず描くので、見え方の確認に一番よろしいかと思います。