「一点透視図法とはどのように使うのか?」「消失点の位置はどこに決めたらいいのか?」という部分が最初のうちはわかりにくいですよね。
一点透視図法とは消失点がひとつだけで、立体物の要素のうち奥行きの線のみが消失点に向かう技法になります。
(↑前回使った画像ですが、復習ということで)
前回、前々回でアイレベル、消失点について説明したので、今回はパースで一番最初に学び始めることがほとんどの一点透視図法について書いていきます。
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Contents
一点透視図法の基本
冒頭で説明したとおり、一点透視図法とは消失点と呼ばれる点がひとつだけです。
立体物を構成する要素は主に「高さ」「奥行き」「横幅」の3つがありますが、一点透視図法は奥行きの線だけが消失点へと集まるように描写する技法になります。
(※消失点とは物体の見える終着点のことです。詳しくはこちらで⇒消失点とは何?見つけ方は?【背景,パース】)
(なお透視図法には一点透視図法以外に二点透視図法、三点透視図法があり、方法によってどの部分が消失点に向かうかは違っています)
一点透視図法を背景を描くときに使うと、中央の1ヶ所に視線が集まるような構図になります。
なのである意味、漫画の集中線のような効果をもたらすことができますね♪(視線誘導とか言うよね)
最初のうちはシンプルな四角形で練習してみるのが良いのですが、隠れる以下の部分も奥行きの線なので注意しておきましょう。
「奥行き」以外の「高さ」「横幅」の線ですが、一点透視図法だと、
- 高さの線…アイレベルに対して垂直
- 横幅の線…アイレベルに対して平行
といった風に描写します。
まあ、要はタテヨコで描けばいいので楽ですね。(^^;)
アイレベルは以下の赤いラインの部分で、画面に目の高さのことを表した線です。
アイレベルを基準に物体の見え方が変わる
アイレベルは目の高さなので、ここを基準にモノの見える面というのが変わります。
たとえばアイレベルより下にあるモノは上側が見えます。
これは見下ろしているというイメージでいるとわかりやすいと思います。
一方で、アイレベルより上にあるものは裏側(下側)が見えます。
これは逆に見上げているというイメージでいるといいでしょう。
ちなみにアイレベルにまたがるとどちらにも寄らない見え方になります。
アイレベルに関しては以下でより詳しく書いているので、理解を深めたいときはこちらで。
消失点の位置で画面の見え方が変わる【構図の決め方】
消失点の位置を決めるときは、まず背景の角度をどうしたいか?という部分からイメージしてみます。
これは消失点のページですでにお話しているのですが、一点透視図法の場合は消失点を右左・上下に寄せることで、強調して見せる部分を変えることが出来ます。
たとえば左の壁をよく見せたいというときは、消失点を右に寄せることで左の壁が強調されます。
天井を広く、ということであれば、消失点を低い位置に置くことで天井が強調されます。
逆の場合も同じです。
ただ、アイレベルというのは人間の目線の高さなので、↑の図というのはちょっと普通の見え方じゃないような違和感が生まれるんですよね。(^^;)
人間の身長を考えると、アイレベルというのは立って過ごすところは1500mm、座って過ごすところは1200mmくらいに設定すると自然な見え方になるので、漫画やイラストで使う一点透視図法では通常上下に寄せることはないかなと思います。
(単純に背景の天井をどうするかとか、そういうのを練習するときには使うかなという感じです。)
なおとくにこだわりがない場合は、消失点を中央に置けばバランス良く全体を見せることが出来ますよ。
モノを描くときに便利な分割法
同じ間隔で2つ以上に分かれているものは、分割法を使えば遠近感を維持したまま分けることが出来ます。
パースの基本として、遠近がつく面(消失点に向かう面)は奥に行くほどせまく小さく見える、というのがあります。
なので手前のほうが狭かったり、奥行きがつく面なのにすべて等間隔で並んでいるのは間違いとなります。
窓なんかに使える二分割は簡単で、カドから線を引いて、×が交わるところでタテ線を引けばOKです。
偶数ならこれを繰り返せば、いくらでも分割することができます。
3分割はどうやるの?
二分割は割と説明がなくてもわかりそうですが、じゃあ3分割の場合はどうすればいいのか?というところを知りたい人もいると思います。
これもやり方がありますので、ここでは2つ方法を紹介します。
①まずひとつ目のやり方。最初に先程やった二分割をします。
そうしたら、2つに分けられた四角形の端から、それぞれナナメ線をひきます。
そうすると以下の○部分のように交わる点がでてくるので、
この部分にタテ線を引きます。
線を整理すると3分割できていることがわかります。(二分割したときの中央の線は消してOKです)
ただこの方法は交わる線が多くて迷いやすいので、個人的には2つ目のやり方のほうがおすすめです。
②2つ目のやり方の手順としては、まず手前の辺を同じ長さで3分割します。
これは定規などで測ればOKです。
そうしたら消失点に沿ってパースラインを引き、ヨコに3分割します。
次に、手前の辺の上端から奥の辺の下端までナナメに線を引きます。
そうすると以下の○部分のように交点ができるので、
あとはこの点に沿ってタテ線を描けばOKです。
まあどっちも線は結構多いんですが、一回やってみて、使いやすいと思ったほうで描いていきましょう。
ヨコ分割について
3分割で若干説明しましたが、タテではなくヨコに分割したいなら、手前の辺を同じ長さで分けて、線を引けばいいだけです。
①
②
③
④
分割したい数も好きにできるので、等間隔になるよう最初にきちんと長さを測っておきましょう。
これを使うのは例としてはレンガの壁とかですね~。
【応用】一点透視図法でカドが正面の物体がある場合
※ここを最初に読むとややこしくなるので、一点透視図法や二点透視図法をある程度理解してから読んでください。
一点透視図法の基本は消失点がひとつだけということを説明しましたが、
実際に背景を書いていくと、ナナメに置いてある物体というのも出てきます。
オセロの盤面のように、すべてのものが真っ直ぐ整列されて置いてあれば消失点は1つだけで済みます。
しかしこのようにカドが正面のナナメになった物体は、線の向かう先が他とは違うため、独自の消失点を持ちます。
なので背景を書くとき、他と角度が違う物体があるときはこのように別の消失点を置いて、描写していくことになります。
一点透視図法は透視図法の中でも一番簡単で基本的な構図なので、ぜひ最初に学んでおきましょう。
なお一点透視図法に慣れてきたら、次は二点透視図法に触れてみてください。
一点透視図法を使った部屋の作画については以下でまとめています。
⇒一点透視図法の部屋の描き方!簡単に家具や窓を配置するには?