手はキャラクターを書こうと思ったときに一番悩ましい部位と言われます。
なぜかというと手は人間の身体の中でもカタチが複雑だからです。少し曲げたり、動かしたり、角度が変わるだけで全く違う表情になるので、ひとつ書き方を覚えても別角度になると全然書けない、という自体に陥るのです。
なので、結局はひとつひとつを見ながら描くしか無いのですが、ここではまず、最も基本的な手の甲、手のひらがどんなカタチ・バランスになっているか?というのを考えながら、書き方をまとめていきたいと思います。
手はその難しさからたくさんの方法が考案されているので、ここでの書き方もやり方の一つとしてご覧くださいね。
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手の甲の描き方
手を書こうと思ったら、まずどんなバランスになっているかよく見ながら、最初に細長くアタリを取ります。
だいたい指の長さは手全体の半々ですが、
指の付け根というのは真っ直ぐ揃っているのではなく、カーブを描くようにしてナナメに付いているんですよね。
なので、より正しく描くなら↑の赤線のようにナナメのアタリ線を引きます。
線を整理するとこうですね。
そうしたら、端に少し余白を残して、指4本の位置をおおざっぱにとります。
指は1本ずつの長さが違っていて、
- 中指
- 薬指or人差し指
- 小指
の順で長くなっています。(親指だけ位置が大幅に違うので除いています)
薬指と人差し指に関しては、人によってどちらが長いかに個人差があります。
手は自分のものが一番参考になるので、自分の指がどちらが長いかで決めてもいいですね。(もちろん書きやすい方でもOK)
そうしてアタリの指の長さを整理します。
私は薬指のほうが長いタイプなので、ここでは薬指を長く書いています。
そうしたら内側に伸びる線を書いて、
親指の先も描きます。
親指の先は、人差し指の付け根を少し超えるくらいの長さです。
そうしたら関節の凹凸を書いて、
もう1ヶ所の出っ張った部分も描きます。
手首へと伸びる線にも、また出っ張った箇所がひとつあるので、ここも書いてあげるとリアリティが増します。
そうしたら、小指の方からも手首に伸びる線を描きましょう。
ここは特にツッコむところはなく、曲線1本で書けばOKだと思います。
そうしたら手首も描きます。
小指側の手首には、一つボコッとなっている部分があるので、できれば書いてあげるといい感じになります。(笑)
これだけ書けばもうすでに手としては成り立っているので、こだわりがないならここまででもOKです。
より細かく書いてみるなら、指の付け根のめり込むラインや、
指の下にあるボコッとした部分も書いてみるといいかなと思います。
あとは気になる部分を微調整したりすれば完成です。(以下はちょっとだけ指の太さを調整してます。)
4本の指の関節のデコボコ、シワなどは好みで書いてもいいでしょう。爪は描写しない絵もよくあるので、手のバランスを考えるだけで精一杯のときは、まだそこまで書かなくてもいいかと思います。
手のひらの描き方
次に手のひらの書き方です。
最初のアタリは手の甲と同じで、細長くマルを描きます。
イメージとしては、ちょっと縦に長いパソコンマウスみたいな感じです。(笑)
手のひらの場合も、指は半分くらいのバランスですが、やはり付け根は真っ直ぐではなく、
カーブしています。
この部分に関しては、まず半分に分けてからカーブのアタリを書いたほうがやりやすいと思います。
そうしたら4本の指のアタリを描きます。
中指が最も指の中で長いので、青線アタリの一番長い部分に中指が来るように描写するとスマートです。
指それぞれの長さは手の甲と同じなので、ここは同じように長さを調整してください。
そうしたら親指の先を描きます。
親指の先は、人差し指の付け根より少し長くなっています。(これも手の甲と同じです)
親指側のデコボコの部分に関しても、ただひっくり返しただけって感じですね。
親指の内側の線も描きます。関節を意識して少し凹凸をつけます。
そうしたら、小指側も手首に続くラインを描きます。
ここは曲線1本ですね。
ちょちょいと付け根のめり込むラインを描きます。(最低限の描写にしたい人はここは書かなくてもOK)
手首を描きます。手のひら側の手首は露骨な凹凸はないので、ただ真っ直ぐな線を引くだけでもそれっぽく見えるでしょう。
以降は任意で書いてほしいのですが、手のひらと手首の境目(?)のような線を書いてみたり、
大きい3つの線を描写するとリアルです。
以下は親指部分やその付け根に線を増やしています。
ちなみに手首には「長掌筋(ちょうしょうきん)」という浮き上がる線を描くことも出来ますが、これに関しては絵柄やキャラクターによっては書くと野暮ったく見えることもあるので、無理に描写する必要はありません。
アタリを消すとこうなります。
手の簡単な省略方法
と、ここまでバランスを考えた書き方を紹介したのですが、手順が多すぎて難しく感じてしまう人もいると思います。
なので、難しい部分をすべて取り去って描きたい人は、以下の点だけ気をつけちゃえば正直いいんじゃないかと思います。
親指以外の4本の指は中指だけ長いくらいを意識します。また、付け根は本当ならカーブになりますが、面倒なら揃えてしまっても手には見えます。
めっちゃ意識低い書き方ですが、とりあえず指が5本あれば手っぽくなるので、挫折してしまうくらいなら簡略化した方法でしのいでおきましょう。
慣れてきたら、手の指に角度がついていることを意識していくといいと思います。
爪の描き方パターン
爪のパターンを試してみると、大体この4つになるかな?と思います。
- 爪の先だけ描く
- 爪の内側(根本)だけ描く
- 爪の全体を描く
- 何も描かない
4つ描いてますが、1や3のパターンで描くことがほとんどかと思います。
2は試しに描いてみましたが、爪が剥がれているように見えるので、あまり使う機会がなさそうです。汗
デフォルメが効いた絵柄であれば爪を描かなくてもよかったりするので、自分の絵柄に合わせるといいですね。
難しいバランスの手は指を固まりで捉えよう
手を複雑にしてしまっているのは、指が一番の原因ではないかと思っています。
たとえば↑の絵は鉛筆を持った手を前の方から見たイメージで書いたのですが、結構バランスが難しいですよね。
こういう難しい手を描くときには、まず親指を抜いた4本の指を一度固まりで捉えて(①)、その後に4つに分けて描いていくと(②)、若干は描きやすくなるかなと思います。
手の練習方法
ここでは最も基本の手の甲・手のひらの書き方の紹介でしたが、冒頭で話したように手はちょっと動かすだけでバランスがかなり変わります。
なので、握った手、何かを持った手など、描きたい手があるときはまず自分の手を見ながら書いてみてください。
ペンを持っていても片方の手は空いているので、見ることは容易だと思います。自分では見れない角度の手に関しては、ポーズ集を使ったり、鏡に写しながら描いてみたりなどの工夫をしてみましょう。
手ってそれだけのポーズ集があるくらい難しい部位なので、練習をするなら気長にやっていくのが賢明です。
どうしても書けないときは、まずポーズ集などの手をトレーシングペーパー(100円ショップでも売っています)でなぞり描きして、また自分で描いてみて…。という繰り返しの練習をするのが良いかなと思います。
そうしていると、だんだんバランスがわかってくるので、最初のうちはとくにおすすめですよ。